不倫相手が,夫が交際中に多額の金銭を支出していることを十分認識しながら交際を続けていたことなどを考慮し,妻から不倫相手へ200万円の慰謝料請求を認めた事例
認められる事実
(1)原告は,平成3年11月3日,Aと婚姻した。
婚姻後,原告はキャリアアップのために留学しようと考え,Aの了解を得た上で,平成18年7月からロンドンに留学した。
(2)同人は,平成19年7月16日,Aと知り合った。被告は,同月24日,同人の自宅マンションに宿泊し,Aと不倫関係を持った。
(3)Aは当初,被告に,婚姻している事実を告げていなかったが,8月上旬ころには,妻と離婚の話をしている旨を告げていた。
(4)被告は,その後も,週に2,3回の頻度でAと会い,10月6日,7日には,Aに誘われ,高級ホテルに宿泊し,再び不倫関係を持った。以降,被告は,10回以上にわたってAと高級ホテルに宿泊し,不倫関係を持った。
(5)Aは,被告との食事代や高級ホテルの宿泊代等を負担していたほか,ブランドバッグや高級時計等,少なくとも総額450万円以上のプレゼントを贈った。
Aが,支出した金額は,交際期間中に総額1000万円程度に達した。
(6)原告は,同年7月30日,留学を終えて帰国したが,Aの態度に違和感を抱いていた。原告は,8月Aと口論になり,勢いで離婚すると発言したが,これに対し,Aは,直ちに離婚したいと言い出し,後日,原告が謝罪したにもかかわらず,離婚する旨の主張を続けた。
原告は,精神的ショックを受け,心療内科を受診し,うつ病と診断された。
(7)原告は,10月上旬,女性用高級腕時計を購入したこと,また,高級ホテルに二人で宿泊したことを知った。調査会社に調査を依頼し,Aが被告と交際していることが明らかとなった。
(8)Aは,12月11日,完全に原告と別居するに至った。
(9)Aは,12月初めころ,被告と一緒に生活することを計画し,新たにマンションを借りたが,Aは,その後同人と別れることを決意した。
慰謝料算定のポイント
これまで原告とAの夫婦関係は良好であったと認められるところ,Aは,被告との交際を始めたことがきっかけとなって,原告に強く離婚を求めるようになったものと認められる。原告は,Aから強く離婚を求められたショックから,心療内科を受診し,うつ病との診断も受けている。
その後,原告は,Aから被告との交際の全容を告げられ,Aが被告との交際により多額の金員を費消していたこと及び同人と同居する予定でマンションまで借りていたことを知るに至り,さらに多大な精神的苦痛を受けたものと推認される。
ところで,本件では,Aが,被告との交際中に総額1000万円程度の支出をしていることが認められるが,仮にこれが夫婦財産を減少させる行為であり,原告の財産分与額に影響を与えることがあるとしても,その経済的不利益自体が,ただちに本件不貞行為に基づく損害といえるものではない。ただし,被告は,Aが自己と交際する中で多額の金員を支出していることを十分認識しながら交際を続けており,そのことにより,原告がさらなる精神的苦痛を被ったことも否定し得ない。その意味においては,上記事情についても,原告の慰謝料額を算定する際の一事情として考慮されるべきである。
他方で,本件では,被告の方から積極的にAを不貞行為に誘ったとまでは認定できず,被告とAの交際期間も比較的短期間にとどまっている。
以上で述べた諸事情のほか,本件記録に表れた一切の事情を考慮すると,本件において被告が支払うべき慰謝料の額については,200万円をもって相当と認める。
(※東京地裁平成21年 6月10日判決文より一部引用)
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