婚姻関係破綻の主たる原因が妻にあることを減額要素として考慮して妻から不倫相手へ50万円の慰謝料請求を認めた事例

認められる事実

(1)原告とAとは,昭和53年10月2日に婚姻した。原告とAとの間に娘2人をもうけた。
(2)Aは,平成6年ころから平成11年1月ころまで,別の女性と交際した。
(3)平成11年4月ころから,原告は,うつ病の薬を服用した。
原告は,感情の起伏がはげしく,突然大声を出して騒いでいたかと思えば,沈み込んでしまい,Aが話しかけても無視するという状態になることがあり,Aは,それがいやで,悩んでおり,夫婦関係が危うい状況にあった。
(4)平成16年ころ,Aは,被告と知り合い,交際するようになり,不倫関係を持つことがあった。Aは,被告に対し,原告とは仮面夫婦であり,婚姻関係が破綻していること,夫婦生活をしていないこと等を告げた。
(5) 平成21年4月,原告代理人弁護士は,Aに対し,婚姻費用及び財産分与等について,婚姻費用月額17万円,退職時の財産分与として半分を,さらに,生命保険金の受取人を娘Bに変更すること等を提案した。
(6) 平成21年5月ころ,原告とAとは別居した。
(7) 平成21年5月ころ,Aは,被告と同居した。
(8) 平成22年5月ころ,Aは,原告を相手方として,夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てた。
(9) 現在,被告とAは,同居している。

慰謝料算定のポイント

婚姻関係破綻の主たる原因は原告の感情の起伏の激しさにあったこと,被告はAから婚姻関係が破綻していると聞かされていたこと,交際が開始された平成16年頃には原告とAの婚姻関係は危機的状況にあったこと,

Aが被告との同居を開始したのは原告代理人弁護士から,婚姻費用月額17万円,退職時の財産分与として半分を,さらに,生命保険金の受取人を娘Bに変更すること等の提案の通知を受けた後のことであることが認められること,そのほか上記認定事実及び諸般の事情を総合考慮すると,原告の精神的損害を慰謝するには50万円が相当である。

(※東京地裁平成22年11月30日判決文より一部引用)

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