婚姻前同居生活時の浮気相手との間で,婚姻後に不倫関係にあるとは言えないとして夫から妻への慰謝料請求を認めなかった事例
事例の紹介
この事例は,婚姻前に妻の浮気があり,夫が婚姻後もその関係が続いていることを疑い続けた事例であり,婚姻後の不倫関係があるとはいえないとして慰謝料請求が認められなかった事例です。この事例では,婚姻後に夫が妻の不倫を執拗に疑ったことが婚姻関係破綻の原因であるとしており,婚姻前に許した浮気を執拗に追及することの問題が指摘されているといえます。このような状況でお悩みの方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
認められる事実
(1)原告と被告は,平成11年に交際を開始し,平成12年から同居して生活していた。
(2)平成24年10月27日頃,原告が被告の携帯電話のメールを見て,被告が勤務先同僚のAに対して送っていたメールの内容が明らかとなり,被告は,原告に対し,謝罪した。
(3)原告と被告は,同年11月婚姻の届出をしたが,その後,被告が,原告に対し,嘘を言わない旨の誓約書を交付し,浮気を認める内容の念書を交付し,原告の求めに応じて被告が浮気を認めて原告に謝罪する発言をボイスレコーダーに録音するなどした。
(4)被告は,平成25年4月,原告と別居し,その後原告に対して離婚等請求訴訟を提起した。平成26年12月原告と被告は離婚し,被告が原告に対し100万円の慰謝料を支払う内容の判決が言い渡された。
慰謝料算定のポイント
被告は,Aと私的に会って食事をするなどし,頻繁にメールをするなどしていたが,これらのAとの交際を原告に秘匿していたこと,メールの内容は不貞行為を疑わせる内容であったこと,Aとの交際が原告に発覚した後,被告は,原告に対し,浮気を認め謝罪していることが認められる。
しかしながら,被告及びAは,不貞行為を否定しているところ,被告が,不貞行為はなかったものの好意を抱いてAと交際していたことから,原告に対し浮気を認め謝罪した可能性もあり,被告とAの不貞行為の事実を認めることはできない。
そして,原告と被告は,被告とAの交際発覚後に,関係をやり直すために婚姻の届出をしているのであり,被告とAの交際が原告と被告の関係破綻の原因ということもできない。
原告と被告が婚姻した後,原告の被告に対する執拗な責任追及等が原因で関係が悪化し破綻に至ったことがうかがえるところで,被告とAの交際が原告と被告の婚姻関係破綻の主たる原因とは認められない。
以上によれば,被告とAの不貞行為の事実を認めることはできず,また,被告とAとの間に不貞行為に準ずるような交際関係があるということもできない。したがって,原告の請求を認めることはできない。
(※東京地裁平成27年 4月23日判決文より一部引用)
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