離婚協議において妻が夫に不動産持分の無償譲渡し,夫が子ら名義の預金を取得したことなどによって夫の精神的損害は既に賠償されたとした事例

認められる事実

(1)原告とAは,平成13年9月14日に婚姻した。
同年12月,土地及び建物を共有で購入し(共有持分:原告が5分の4,被告が5分の1),婚姻生活を送った。
原告とAは,長女B及び長男Cをもうけた。

(2)被告は,フットサルスクールを主催し,児童にフットサルを教えている。長男は,このフットサルスクールに通っていた。
(3)Aと被告は,遅くとも平成25年9月25日ころから性交渉を行う関係になっていた。
(4)原告とAは,平成26年1月26日,離婚協議書を作成した。Aが子らの親権者となること,子らの養育費であって通常支出するものはAが全て負担することが定められた。
(5)原告とAは,同月29日,協議離婚した。
(6)Aは,同年2月14日,原告に対して,各不動産のAの持分を無償で譲渡し,持分権移転登記手続をした。
(7)被告とAは,同年9月4日,婚姻した。

慰謝料算定のポイント

Aと被告との交際開始時点において,夫婦関係は破綻に至っていなかったところ,証拠によれば,被告とAが不倫関係を開始したころから家庭内でのAの態度が変わり夜中に自宅を出て朝帰りをするようになり,不倫関係が発覚したことによって婚姻関係が破綻し,離婚に至ったということができる。
そうすると,慰謝料の額は,不法行為の期間・態様,被告の行為によって原告とAの婚姻関係が破綻に至り離婚に至ったこと,その他本件の諸事情を総合考慮すると,150万円と認めるのが相当である。

不倫発覚後,離婚協議書には,財産分与を原因とする本件無償譲渡の手続が規定される一方で,それ以上には慰謝料,財産分与はお互い請求しないという趣旨が設けられたことが認められる。

不貞行為を行ったことに対する慰謝料代わりとしてAの持分が原告に譲渡されたと認めるのが相当である。
本件無償譲渡により,約400万円相当分は原告が取得したと考えることができる。

原告が子ら名義の貯金を解約するなどして68万1206円を取得しており,この点も原告とAの関係の清算ないし損害賠償の意味があると解するのが相当である。
したがって,原告の精神的損害は,本件無償譲渡及び上記68万1206円の取得により,既に賠償されたと認められる
よって,原告の請求は理由がないから棄却する。

(※東京地裁平成27年 5月22日判決文より一部引用)

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