１　回答

養育費の支払いは，毎月一定額を支払う方法で履行されるのが通常です。しかしながら，離婚時に財産分与などで相手に多額の現金がある場合には，将来支払われる予定の養育費をまとめて離婚時に支払ってもらうことを希望される方もいらっしゃいます。このような方法は，養育費の支払いが滞ることはなくなるので，不安を解消する上では良い方法といえます。

結論としては，支払う側が同意するのであれば，養育費の一括払いを受けることも可能です（ただし，次のことには注意が必要です。）。なぜなら，養育費支払請求も金銭債権の一種であり，債務者である相手が支払いに応じるのであれば，債務者の意思を尊重して差し支えないからです。

２　一括払いのデメリット

一括払いを受ける場合には，毎月支払を受ける場合とは異なり，養育費の支払いを受ける側に贈与税がかかる可能性があるので注意が必要です。したがって，養育費の支払いが滞る心配がない場合には，一括払いではない方が良いとも考えられます。

また，一括払いによる場合，支払いを受けた後に追加の養育費請求をすることが制限されることがあります。通常，支払う側としては，一括で支払う代わりに以後養育費の話は持ち出さないことを希望することが多いです。そのため，一括払いの合意をする際には，以後追加の養育費請求は認めないなどの条件を付けることがあります。このような合意も内容によっては有効となりうるため，以後の養育費の請求が制限されることがあります。一括払いを受ける際には，そのような事についても慎重に検討することが必要です。

３　信託を利用する方法

贈与税を受けずに養育費の支払を一括で受ける方法として，信託銀行と養育信託契約を結ぶ方法もあります。この方法であれば，養育費を支払う側は養育費の総額を信託銀行に預けているに過ぎないため，上記のような贈与税の問題は生じません。また，この方法であれば，支払いを受ける側は支払いが滞る心配をすることもなくなります。支払う側に一括で支払う資力がある場合には，一度検討してもいい手段であるといえます。