相手名義の財産についても財産分与の対象になるのでしょうか。

1 回答

相手名義の財産についても,夫婦が婚姻共同生活に基づいて築いた財産であれば,財産分与の対象となります。一方,これが相手の特有財産である場合には,財産分与の対象にはならないので注意が必要です

 

2 特有財産とは

特有財産とは,夫婦の一方が婚姻前すでに取得していた財産と婚姻後に相続や贈与によって取得した財産をいいます。相手名義の財産がこのような特有財産に当たる場合には,財産分与の対象にはなりません。この点,婚姻前の同居生活時に相手が取得した財産について,これも財産分与の対象とできないかと質問を受けることがありますが,このような場合も婚姻前に取得した財産である以上,特有財産として財産分与の対象とはできないので注意が必要です。

 

3 特有財産か否かについて争いがある場合

このような特有財産に当たるか否かについて,夫婦間で争いになることがあります。例えば,夫が婚姻前から有していた不動産を婚姻後に妻が運用し,その運用によって出た利益に基づいて購入した不動産は特有財産に当たるか否かが争点となることがあります。このような場合には,妻の運用の内容などに従って,妻の貢献度を評価し,特有財産か否かを判断することになります。

 

また,預貯金については,過去の取引履歴を確認することで特有財産か否かを判断できることがあります。しかしながら,一般的には金融機関の取引履歴は過去10年分までしか保管されていないため,それ以前の預貯金については特有財産か否かを取引履歴から判断することができないことがあります。そのような場合には,その他の証拠により特有財産か否かを判断しなければならなくなります。

 

特有財産か否かが争点となる場合には,その立証活動が必要になりますので,一度弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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