将来支払われるはずの退職金についても財産分与の対象にできないでしょうか。

1 回答

退職金は給与の後払い的性格を有することもあり,給与と同じように財産分与の対象となります。もっとも,すでに支払われている退職金については問題なく財産分与の対象となりますが,将来支払われる予定の退職金については財産分与の対象とはならないことがあります。それは,将来的に支払われなくなる可能性がある以上,支払われることを前提として財産分与の対象とすれば,当事者に不公平な結果を招きかねないからです。

 

将来支払われる予定の退職金が財産分与の対象になるか否かの判断は,専門的な知識と経験を要するところですので,弁護士にご相談されることをお勧めいたしますが,ここでは,簡単に将来支払われる予定の退職金の財産分与についてご説明いたします。

 

2 退職金が支払われる可能性について

将来的に退職金が支払われる可能性が高い場合には,このような退職金も財産分与の対象になります。退職金が支払われる可能性の程度については,職種や勤続年数などの諸事情の総合考慮により判断されます。例えば,一般的に,民間企業職員よりも公務員の方が退職金を受け取る可能性は高いと考えられますし,勤続年数が20年以上になるようであれば,退職金が支払われる可能性は高いといえるでしょう。もっとも,就業規則上は支給されることになっている退職金であっても,会社の経営状況によっては,実際の支給が困難であることもあります。そのような場合には,退職金が支払われる可能性が低いと判断されることもあるので注意が必要です。

 

3 退職金の算定方法

退職金の金額は,就業規則や支給実態などに基づいて算定します。将来的に支払われる予定の退職金の額は,離婚時点で退職した場合に支給される退職金の額を基準とする方法定年退職時に支給される退職金の額を基準とする方法の二つがあります。いずれの方法で算定するかによって算定額が大きく異なることが多いため,どちらの方法で算定するかについて当事者間で争いになることがあります。一般的には,定年退職までの期間や近い将来退職する可能性などを考慮して算定することになりますが,自己に有利な算定方法で合意するには有効な主張立証活動が必要になります。

 

退職金の支給額は非常に高額になることが多く,離婚後の生活設計上,退職金の財産分与は非常に重要な意味を持ちます。ぜひ一度弁護士にご相談のうえ,適正な財産分与を目指されることをお勧めいたします。

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