養育費の算定表は新しく作られたものがあると聞きました。これはどのようなものですか。

1 回答

実務では,裁判所の公開する算定法に基づいて養育費を算定しています。しかしながら,この算定表は2003年に作成公表されたものであり,近年では時代の変化への対応が不十分であるとの理由からその適正さに疑問の声が上がっています。

そのような中で,日弁連は、2016年11月15日付けで「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」を取りまとめ、同年11月29日付けで最高裁判所長官、厚生労働大臣及び法務大臣に提出しました。この新しい算定表に従うと,従前の算定表に従った場合と比較して,最大で1.5倍の金額が算定されることになります。したがって,養育費の支払を受ける側としては,新しい算定表に従った方が有利であり,養育費を支払う側としては,旧来の算定表に従った方が有利であるということになります。

 

2 今後の実務について

今後裁判所が新しい算定表に従った運用をするかについては,現時点においては不透明といわざるを得ません。しかしながら,新しい算定表は,2003年以降の税制及び保険料率の改正も反映しており,時代の変化に対応しているといえ,また,算定の基礎となる生活費指数についても,従来の算定表が前提とする生活費指数よりもきめ細かな分類がされており,新しい算定表による方がより生活実態に沿う養育費の算定が可能であるように思われます。

定着した実務がどのように変化するかを予測するのは難しいところですが,裁判所が新しい算定表に従うことを明言しない限りは,調停や訴訟においては旧来の算定表に従って手続きを進めることになるように思われます。もっとも,交渉の場面においては,このような算定表の合理性について当事者が納得するのであれば,それに従うことも可能です。養育費を請求する側としては,新しい算定表により算定した養育費で,合意を目指されることも検討に値するといえるでしょう。

離婚相談/性別・年齢・職業別

離婚相談/状況別・お悩み別

不倫慰謝料のご相談