不倫の証拠として,メールのやり取りなどを保全したいですが,夫婦間でも勝手に携帯電話を見てはいけないのでしょうか。
1 回答
夫婦間においても,配偶者の携帯電話を無断で見る行為は,プライバシー侵害行為にあたり,民事上の不法行為に該当する可能性があります。
したがって,無断で携帯を見た場合には,50万円未満の少額になることが多いですが,損害賠償責任を負う可能性があります。また,そのような調査により収集したメールのやり取りや写真は,場合によっては,違法収集証拠として証拠として使えなくなってしまうこともあります。
もっとも,配偶者の不倫が合理的に疑われる場合においては,不法行為責任を負わないこともあります。携帯電話を調査したいとお考えの方は,無断で携帯電話を確認する前に,一度弁護士ご相談されることをお勧めいたします。
2 違法収集証拠について
配偶者の携帯電話を無断で見る行為は,民法上の不法行為にあたる可能性があります。そして,不法行為により収集された証拠は,違法収集証拠といい,裁判においては,証拠として使えなくなる可能性があります。これを専門的には「証拠能力が否定される」といいます。
このような違法収集証拠に当たるか否かの判断は,当該証拠の重要性や調査手法の悪質性,人格権侵害の程度などを総合考慮して判断されることになります。
例えば,不倫相手の家に盗聴器を仕掛けて録音した音声データなどは,違法収集証拠として証拠能力が否定される可能性が極めて高いです。一方で,配偶者が見知らぬ女性と手をつないで歩いているのを目撃し,不倫を疑い,携帯電話のメールのやり取りや写真を確認したという場合には,証拠能力は否定されない可能性が高いでしょう。
違法収集証拠として,証拠能力が否定されるか否かは,専門的な知識と経験を要するところですので,実際に調査する前に,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
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