１　回答

結論から言いますと，調査費用についても併せて請求できることはあります。ただし，調査内容や調査によって得られた証拠の価値などにより，請求できる金額は異なります。

例えば，過去の裁判例の中には，約１００万円の調査費用全額についての請求を認めた事例もあります。これは，興信所や探偵事務所の調査によらなければ不倫の証拠を集めることが極めて困難であり，得られた証拠の価値が非常に高かったことが影響しています。

興信所などの利用を検討されている方は，まずは弁護士にご相談の上，調査費用についても慎重にされることをお勧めいたします。

２　興信所や探偵事務所への依頼の方法

不倫の調査において，興信所や探偵事務所による調査が利用されることはよくあります。このような調査による報告書は，証拠として非常に有効であることがありますので，証拠が十分ではない場合には，調査依頼についても検討するべきであるといえます。

しかしながら，このような調査は長期間に及ぶこともあり，調査費用のみでも１００万円を超えることがあります。そのため，調査依頼の方法についても慎重に検討しておくことが必要です。

また，調査の方法が違法な手段になっている場合には，調査により得られた証拠が裁判では使えないこともあります。そのため，調査を依頼する興信所についても慎重に選ぶ必要があります。

当事務所にお越しいただいた場合には，まずは不倫を疑うに至った経緯をお聞かせいただき，それを前提として調査方法についてもご提案することとしています。調査方法を誤ると，相手が調査していることに気が付いてしまい，証拠隠滅をされることもあります。

闇雲に調査をする前に，一度当事務所にご相談にお越しください。きっとお力になれることと思います。

３　調査費用請求の法的根拠

調査費用請求は，法律的には，不法行為に基づく損害賠償請求（民法７０９条）と構成できます。

不法行為に基づく損害賠償請求は，不法行為と相当因果関係のある損害の限度において認められます。この点，調査費用については，不法行為を明らかにするための支出であり，必ず必要な支出であるかについては疑問が生じます。

そのため，調査をする必要性が高いような場合に，必要な限度での調査費用についてのみ損害として認められる傾向があります。