公正証書を作成していた場合でも,養育費の減額は可能ですか?

養育費減額の請求要件

当事者間の離婚協議書や公正証書,調停調書,和解調書,判決等,どのような方法で養育費を定めていたとしても,収入の激減や再婚等の事情変更によって養育費の減額請求をすることが可能です。

“扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは,家庭裁判所は,その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。”(民法880条)

民法880条を準用し,養育費の減額または増額の申し立てが裁判所においても認められています。

養育費は,事情変更の要件を満たせば,減額できますが,減額が認められるかの検討にあたっては,まずどのような減額事由が認められるのか,減額事由があるとして認められる可能性のある主張なのか等,具体的判断が必要となるため,専門的な知識と判断が必要となります。

一般的な例としては,父母の再婚,再婚に伴う未成熟子の養子縁組,父母の病気,就職,失職,収入の増減などが挙げられます。

養育費減額の請求手続き

養育費の額が判決や審判書,調停調書,公正証書などで定められている場合,一方的に養育費の額を減額すると,強制執行される恐れがあります。そのため,一方的に養育費の額を減額するのではなく,減額が認められるか検討し,相手方と協議をしたうえで,養育費の額を決め直す必要があります。

養育費の減額について協議によって合意ができた場合は,合意書,公正証書を作成しておきます。

話し合いでは養育費の減額いついて合意がまとまらない場合は,家庭裁判所に養育費の減額調停を申立てます。それでも決まらない場合は審判に移行し,裁判所が最終的な決定を言い渡します。

調停や審判では,養育費を減額するための根拠を示す必要があるため,お互いの生活状況や収入の増減など,離婚時には予想できなかった事情変更が生じたことを証明する資料を示す必要があります。その資料をもとに,養育費の減額が妥当かどうかを判断し,適切な養育費の金額を算定し直すことになります。

減額事由が認められる主張が可能かどうかには,具体的判断が必要となります。また,減額が認められる場合に,個別の状況に応じた計算によって、養育費を算定する必要がありますが,これには,専門的な知識と経験が必要になりますので,ぜひ一度弁護士に相談されることをお勧めします。

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