専業主婦であった場合でも,財産分与を受けられますか?

専業主婦の財産分与割合

婚姻中に夫婦が築いた財産(共有財産)については,その名義に関わらず,離婚する際に夫婦間で分け合う決まりになっています。これを法律上は「財産分与」といいます。財産分与の対象は,原則は別居時を基準にします。

財産分与は,夫婦それぞれの財産形成に対する貢献度に応じて分配するという考え方が取られています。このような財産分与を清算的財産分与といいます。

そして,妻が専業主婦で収入がなかったとしても,家事労働は立派な労働と評価され,また家事や育児を行うことによって夫の労働を支えていることから,夫婦の財産形成に貢献したと考えられます。そのため,基本的には財産分与の割合は2分の1として認めらる傾向にあります。

財産分与は,離婚後でも請求できますが、原則として離婚後2年以内に請求する必要があります。

財産分与の割合が2分の1にならないケース

財産分与割合は、個別の事情により修正されることがあり,たとえば,以下の場合には,財産分与割合は2分の1にならないことがあります。この例外を主張するものは自らが立証しなければならないため,弁護士に依頼して自らの考えをしっかりと主張立証していくことをお勧めいたします。

一方の特殊な能力により財産形成した場合

夫が医師や会社経営者,その他特殊な資格保持者で高収入である場合や,有用な発明品を開発したような場合には,特段の事情があるとして,妻の財産分与割合は2分の1未満になる可能性があります。これは,夫固有の能力や努力によって財産を形成しており,妻の寄与,貢献とは無関係であることが明らかである部分が大きいからです。

一方に著しい浪費があった場合

一方の配偶者はギャンブルなどで浪費が激しかったが,他方は仕事,家事,育児などを行いながら,貯金をしていたような場合には,夫婦共有財産の形成への貢献度が明らかに異なるため,財産分与割合は2分の1になるとは限りません。

慰謝料的財産分与の場合

離婚慰謝料は,不法行為に基づく損害賠償であり,基本的に財産分与請求権とは別の請求権ですが,慰謝料を含めた財産分与を求めることも可能であり,これを慰謝料的財産分与といいます。

この場合,慰謝料を請求する側は,慰謝料相当額を考慮して,2分の1以上の割合で財産分与を請求できる場合があります。

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