内縁関係でも慰謝料は請求できますか?
内縁関係とは
内縁とは,婚姻意思があり,社会的に夫婦として共同生活を送っているが,婚姻の届出をしていないために,法律上の婚姻として認められない男女の関係をいいます。
つまり,内縁関係であると評価されるためには,男女の双方が婚姻の意思をもっていること,また夫婦としての共同生活を継続していること,が前提となります。
婚姻の意思
ただ同棲しているというのみで,婚姻の意思のない男女に内縁関係は成立しません。
男女間で,一方は婚姻の意思があり,他方は婚姻の意思がないという認識の相違があることがあります。
裁判などにおいて,婚姻意思を主張・立証する場合には,例えば,結婚式を挙げている,友人に結婚した旨の連絡をした,など外形上現れていると主張が認められやすいと言えます。このような事情がない場合の立証は容易ではありませんが,その他の個別具体的事情を検討して立証していく必要があります。
共同生活を営んでいる
男女が同居し,家計が一緒である,共有財産がある,など夫婦としての共同生活を継続して営んでいることが必要です。
単なる同棲では,生計が同一とはいえず,夫婦共同生活はありません。
内縁であるか否かが問題になったときは,男女が共同生活を送ることになった経緯や第三者から見て内縁関係であると認められる状態にあるかなどで判断されることになります。
内縁の法律関係
内縁関係が成立する男女は,法律上の婚姻夫婦とほぼ同様の権利義務が生じ,同居・扶養の義務,婚姻費用の分担義務,貞操義務が発生します。内縁関係を解消した場合には,財産分与や慰謝料請求も認められています。
内縁の慰謝料請求が可能な場合
一方的に内縁を不当に解消した場合
内縁は,婚姻に準ずる関係ではありますが,相手方の同意や裁判の判決がなければ夫婦関係を解消できない法律婚とは違い,話し合いも十分になされないまま相手が家を出くことなどで,事実上内縁関係を解消することができます。
正当な理由がなく一方的に内縁関係が解消された場合,慰謝料の請求が可能です。
正当な理由と認められるのは以下の離婚事由と基本的には同じです。
第770条 夫婦の一方は,次に掲げる場合に限り,離婚の訴えを提起することができる。
① 配偶者に不貞な行為があったとき。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
不倫をした場合
内縁の配偶者の不倫は,不法行為として,内縁の配偶者及び不倫相手に対して,慰謝料を請求できます。
裁判所において請求する場合,内縁関係の立証と,不法行為を立証する必要があります。
また,不貞相手に慰謝料請求をする場合には,不貞相手に故意過失がない(内縁関係を知らなくてやむを得ない)と認められる場合には,慰謝料の請求が認められません。そのため,慰謝料請求をする際には,不貞相手が内縁関係について知っていた,または知り得たということを立証する必要があります。
慰謝料請求の可否の判断は個別の事情を検討して判断する必要があります。慰謝料の請求を検討されている場合は,一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。
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