22年間もの長期にわたり不倫関係を継続したことを考慮して妻から夫と不倫相手に対して400万円の慰謝料請求を認めた事例

事例の紹介

この事例は,不倫の期間が22年間という非常に長期であったことから,その慰謝料額を400万円と算定した事例です。この不倫期間において,不倫が一度露見しているにもかかわらず,隠れて関係を継続した点も考慮されています。このような非常に長期間の不倫であっても,400万円という判断が出ていることは,慰謝料請求の際に必ず年頭におく必要があるといえます。慰謝料額についてお悩みの方は一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

原告X1と被告Y1は、平成元年4月17日に婚姻し、平成3年2月25日に原告X2をもうけた。

被告らが少なくとも平成3年7月から平成24年までの間不倫関係にあったこと、また、被告Y2が遅くとも平成3年9月頃には被告Y1に配偶者のあることを認識していたことは、いずれも当事者間に争いがないものと認められるから、被告らは、原告X1に対し、共同不法行為に基づき、連帯して損害を賠償すべき責任を負うものと認められる。

慰謝料算定のポイント

1.原告X1の請求について
被告らの不倫関係は、少なくとも約22年間という、原告X1と被告Y1との四半世紀に及ぶ婚姻期間そのものに比擬し得る非常な長期間にわたること、また、被告らは、平成5年にその不倫関係が原告X1に露見したにもかかわらず、その後も原告X1を欺く態様で不倫関係を継続したことが認められるところ、これらの事実に照らせば、被告らの共同不法行為は、その態様において相当に悪質なものであるといわざるを得ず、これにより原告X1が受けた精神的苦痛も、相応の深刻なものであると認めるべきものである
他方、原告X1と被告Y1との間の婚姻関係はなおも継続しているものと認められるから、現時点では、原告X1に婚姻関係の法的な破綻に係る精神的苦痛が生じているとはいえない。
以上の事情に、本件に顕れた諸般の事情を総合すると、原告X1が被った精神的苦痛を慰謝するために被告らが連帯して支払うべき金員の額は、400万円と認めるのが相当である。

2.原告X2の請求について
我が国の法制の下では、不貞行為は、男女が人格的及び性的に一対一で結びつくことを合意して成立する婚姻上の義務に反するものとして、配偶者に対する不法行為を構成するものと解されるところ、そもそも上記のような義務を観念することができない配偶者以外の者との関係では、不貞行為は、不貞行為者が害意をもって損害を生じさせるなど特段の事情のない限り、不法行為を構成しないものというべきである。したがって原告X2の請求は認めることができない。

(東京地裁平成27年7月8日判決文より一部引用)

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