夫から妻と二度と会わないよう言われて不倫相手は了承したにもかかわらず不貞行為を継続したことを考慮して,夫から不倫相手へ200万円の慰謝料請求を認めた事例

事例の紹介

この事例は,不倫相手と会わないという誓約を破ったことを考慮して,不倫慰謝料の額を200万円とした事例です。このような不倫の態様の悪質さも慰謝料算定上の重要な事情になります。また,この事例では,不倫を理由として婚姻関係が破綻に瀕しているものの,離婚するには至っていなかったという事情も指摘されています。一般的に,不倫の慰謝料は,離婚した後の請求の方が高くなる傾向があるため,この点も慰謝料算定に影響していると考えられます。このような状況でお悩みの方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1)原告とAは,平成11年8月31日に婚姻して,平成12年に長女を,平成16年に長男を,平成19年に二男をもうけた夫婦である。
被告は,Aが薬剤師として勤務する調剤薬局の取引先製薬会社社員であり,既婚男性である。

(2)被告とAの間のメールの内容は,概ね,恋人同士が肉体関係の余韻を楽しんだり,互いに対する思いを述べたりする類いのものであり,一緒に出かけることが原告に知られないようアリバイ工作をする話もあった。
(3)原告は,上記のようなメールを見つけて,平成25年6月18日から同年8月17日にかけて,調査会社に対し,Aの素行調査を依頼した。
7月20日,被告とAは,午後7時頃にAの自宅近辺で落ち合うと,タクシーでホテルに行ってホテルの部屋に入室し,翌日午前2時30分過ぎ頃まで,二人で過ごした。
(4) 被告は,平成25年9月27日,仕事を終えたAを自家用車に乗せたところを原告に見つかり,原告から,Aとは二度と会わないようにと言われ,これを了承した。
(5) 原告は,平成26年1月15日,Aの行動を不審に思い,Aの素行調査を依頼した。被告とAは,平成26年3月15日,午後6時頃から午後8時30分過ぎ頃までの間,ホテルの部屋において二人で過ごした。

慰謝料算定のポイント

原告は,被告とAの不貞行為を疑うようになる前においては,Aとの間で夫婦喧嘩をしたことはあったものの,離婚話にまで至ることはなく,婚姻以来通常の夫婦としてAと一緒に生活してきたが,

① 上記認定の不貞行為を知ったために,思い悩んだ末にAとの離婚を考えるようになってAに対して離婚話をするに至っており,上記認定の不貞行為が主たる原因となって原告とAの婚姻関係が破綻に瀕していると評価されること,

② 原告が被告とAの調査に合計168万円の費用をかけたことが認められ(調査費用を支出したことは慰謝料算定にあたって考慮するべき事情と解される。)

③ 原告とAの婚姻期間が短いとはいえないこと,

④ 原告とAとの間に年少の子を含む未成年の子が3名いること,

⑤ 被告が,原告からAと会うことを禁じられてもなおAと不貞行為をしており,悪質といわざるを得ないことに鑑みると,上記認定の不貞行為の回数が多くはないことを考慮しても,これにより原告の被った精神的苦痛を慰謝すべき金額は,200万円とするのが相当である。

(※東京地裁平成27年3月27日判決文より一部引用)

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