婚姻破綻の原因は不貞行為よりも不倫をした妻の行動そのものによるところが大きいとして,妻の行動を踏まえて夫から妻の不倫相手への慰謝料額を200万円と算定した事例

事例の紹介

この事例は,不倫により夫婦関係が破綻して離婚協議中に慰謝料請求がなされた事例であり,妻が不倫相手と同居していることなどを考慮して,慰謝料額を200万円とした事例です。離婚に至っていない状況での慰謝料請求においては,一般的に200万円未満の慰謝料となることが多いですが,この事例では離婚協議中においても夫婦関係が破綻していることを前提として,慰謝料を算定しています。離婚協議中の慰謝料請求をご検討されている方は,一度弁護士に対応をご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1)原告とAは,平成13年3月20日に婚姻の届出をした夫婦である。
原告とAとの間の平成24年夫婦関係調整調停申立事件が係属しており,離婚を前提として財産分与の協議が行われている。
(2)被告は,平成24年7月8日から,Aと同居している。
被告は,Aが既婚者であることを知りながら,同居を開始した。
(3)原告は,平成24年10月4日,被告に到達した書面により,Aとの同居の解消等を求めたが,被告は,同月22日付けの書面により,ルームシェアしているにすぎないと回答した。

慰謝料算定のポイント

被告は,Aが原告と婚姻関係にあることを知りながら,平成24年7月8日から同年12月13日に救急搬送されるまで同居していたのであるから,Aとの不貞行為により原告が被った精神的損害を慰謝すべきである。

そして,原告とAが,離婚を前提として財産分与に関する協議を行っていることは前提となる事実に記載のとおりであり,現時点においては,原告とAとの婚姻関係は破綻したといわざるを得ないが,A作成の陳述書によると,Aから被告に同居を働きかけたものであり,他方で,別居する当日まで,原告との間では円満な婚姻関係にあるように装い,別居すると同時に離婚を求めたのであるから,原告とAとの婚姻関係が破綻した原因は,被告との不貞行為よりは,Aの行動そのものによるところが大きいものというべきである。

上記の事情を考慮すると,原告とAとの婚姻関係が別居までに11年余り継続していること,被告とAの同居期間が約5か月であり,本件訴訟係属後も,救急搬送されるまでは同居を続けていたことなどの事情を考慮しても,被告との不貞行為により原告が被った精神的損害を慰謝するためには200万円をもってするのが相当である。

(※東京地裁平成26年 5月16日判決文より一部引用)

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