不倫をした夫が元妻に慰謝料150万円を先に支払ったことが減額要素として考慮して,元妻から不倫相手に150万円の慰謝料請求を認めた事例

事例の紹介

この事例は,不倫相手に対する慰謝料請求の前に,元妻から慰謝料を受け取っていた事例であり,これを理由として慰謝料額が150万円とされた事例です。不倫の慰謝料は,連帯債務になるため,すでに元妻から一部が支払われているとすれば,不倫相手の債務額も減額されることになります。この事例は,このような理屈に従ったものといえます。慰謝料の総額について詳しくお知りになりたい方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1)原告は,平成17年5月27日,Aと婚姻し,原告とAの間には,長男Bと次男Cがいる。

(2)Aは,平成21年の春ころから被告と肉体関係を伴う交際を始めたが,被告には,妻子がいることを隠し,独身であるとして交際していた。

(3)原告は,平成21年の夏ころ,被告とAが肉体関係を伴う交際をしていることを知り,いったんは家を出たが,Aが謝ったため,自宅に戻った。
原告は,同年秋ころ,Aと被告との交際が継続していることを非難するため,被告の職場に架電して,Aには原告や子らの妻子がいることなどを被告に告げた。
(4)被告は,原告からの上記電話で,いったんはAとの交際を中止したが,Aが頻繁に連絡して,原告とは離婚することになったなどと伝えたため,再びAと交際するようになった。
Aは,平成21年冬ころから自宅に帰らないようになり,原告に離婚を迫るようになったが,原告は2人の子のことも考え,離婚には応じなかった。

(5)原告は,Aが帰宅しないようになり,精神的にもつらくなって,150万円の慰謝料を支払うことで離婚に応じることとし,平成22年12月24日にAと協議離婚をした。

慰謝料算定のポイント

原告とAは,中学校のころから交際をし,平成17年に婚姻して2児をもうけるなど円満な婚姻関係を継続していたと認めることができるところ,上記認定の事実によれば,Aと原告の婚姻関係は,Aと被告の不貞行為を原因として破綻し,協議離婚に至ったということができる。

Aと被告の不貞行為に関しては,Aが積極的に被告を誘ったことで交際が開始し,その後もAが原告とは離婚することになったなどと被告に述べて不倫関係を継続したこと,Aが原告との離婚に際して原告に慰謝料として150万円を支払ったことなどの事情を考慮しても,原告とAとの婚姻期間,協議離婚に至った事情等の本件における一切の事情を考慮して,原告が被った精神的苦痛を慰謝する金額として150万円を相当と認める

(※東京地裁平成24年8月29日判決文より一部引用)

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