不倫により婚姻関係が破綻していないことなどを考慮して妻から不倫相手に対して100万円の慰謝料請求を認めた事例

事例の紹介

この事例は,不倫により離婚するに至っていない事例であり,これを前提として慰謝料額が100万円とされた事例です。不倫により離婚するに至った場合には,慰謝料額が200万円を下回ることは少ないですが,離婚するに至らなかった場合には,100万円から150万円程になることが多いです。慰謝料額について詳しくお知りになりたい方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1)原告は,昭和48年12月1日,Aと婚姻した。

(2)被告は,平成19年2月中旬ころから,Aと本件不倫関係を持つようになり,当初は,週に2回程度同人と会って,時にはホテルに宿泊していた。

(3)Aは,被告のために,マンションを自ら借り受けてその賃料等を負担したり,マンションを購入するなどしたほか,被告を同伴して結婚披露宴に出席するなどしたことや,被告に送信したメールの内容を見ても,本件不倫関係を維持するために積極的に行動していたことが認められる。

慰謝料算定のポイント

第三者が配偶者の一方と不貞行為を行った場合には,その結果として婚姻関係が破綻しなかったとしても,他方配偶者の夫又は妻としての権利は侵害されたものとみるべきであるから,他方配偶者は第三者に対して慰謝料を請求し得るものと解するのが相当である。

また,Aからマンションの提供を受けるに際し,これを逡巡したような形跡はうかがわれないし,不倫関係が開始,継続されることについても,被告がこれに格別の抵抗を示していたとか,被告がこれを殊更拒んでいるのにAが強引に又は一方的に被告を誘惑したというような事情は見当たらない。

そのため,Aが本件不倫関係について積極的であったとしても,その責任の多くが同人にあるとまでは認められない

原告は,本件不倫関係のことを知って,うつ状態となり,不眠を訴えるようになるなどしたこと,他方で,本件不倫関係が終わった後も,原告とAは同居しており,その婚姻関係は破綻していないことのほか,本件不倫関係の継続期間が婚姻期間に比して,相対的に短期間であることなど本件に現れた諸事情に照らすと,原告の被った精神的苦痛に対する慰謝料額は100万円とみるのが相当である

(※東京地裁平成22年 6月10日判決文より一部引用)

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