不倫関係の中断,再開を繰り返した妻の不倫相手に対して150万円の慰謝料請求を認めた事例

事例の紹介

この事例は,妻から不倫相手への慰謝料請求が問題となった事例であり,不倫を理由に離婚するには至っていないことが考慮され,慰謝料額が150万円とされた事例です。不倫を理由に離婚に至っていない場合には,慰謝料額が100万円から150万円程になることが多いです。この事例では,不倫関係を解消すると約束した後にもその関係が継続されたことなどが考慮され,離婚には至っていない事例としては比較的高額な慰謝料額とされています。離婚には至っていない場合の慰謝料請求について詳しく知りたい方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1)原告は,男性であり,昭和62年1月8日に,Aと婚姻した。原告とAの間には,長男,二男及び長女の3人の子がいる。原告とAは,現時点でも同居生活を送っている。
(2)被告は,男性であり,被告にも,婚姻した妻であるBと,Bとの間の二人の子がいる。

(3)Aは,小学校の子供会の活動を通じて被告と知り合い,遅くとも平成19年11月ころから不倫関係を持つようになり,平成20年6月ころにはその関係が原告に発覚し,一旦は交際を止めたものの,しばらくすると再び交際を始め,さらに同年10月ころには,被告がBに不倫関係を告白し,別れ話を持ち出すなどしたことで2か月余りは交際を止めたが,平成21年1月にはまたも交際を始め,最終的に同年5月半ばに,二人の交際の事実が再びBに発覚したことがきっかけとなって,交際を中止した。

慰謝料算定のポイント

被告とAの関係は,Aの方に相当の積極性があったと認められる一方,被告もまたAに対する好意を持ち,互いに希望して不貞の関係を持つに至り,基本的にはお互いが積極的,意欲的に,当該不倫関係を維持継続していたものといわざるを得ないのであって,客観的に見れば,その責任はほぼ対等なものであったというべきである。

原告は,昭和62年1月の婚姻以来,少なくとも平成19年夏ころまでの20年以上にわたり,Aや子らと共に概ね平穏な家庭生活を営んできており,原告自身にその家庭生活を損なうような特段の非があったともいえないのに,被告とAの不貞行為により,その平穏な家庭生活を大きく阻害され,甚大な苦痛を被った。

しかも二人の不倫関係は,原告に発覚して,一旦は関係解消を決めたはずであったにもかかわらず,その後間もなく交際を再開したり,その後不倫関係がBにも発覚して,自宅を訪ねてきたBに強く抗議されるなど,目に見えたトラブルにまで発展し,再び関係を清算したはずであったにもかかわらず,その後さらに不倫関係を結ぶなど,短期間に手酷い裏切りを2度3度と重ねる形となっている。

また未だ年若い長女を始めとする3人の子供達も,実母であるAの不倫の事実を知らされるに至り,その心情は大きく傷つけられ,しばしば家庭内で荒れるようになったことから,そのような様子の子供達を目にする原告にとっては,それもまた一層の心痛となっていること等が認められ,その精神的損害は非常に重大であるというべきである。

他方で,離婚に反対する子供達に配慮したとはいえ,原告は未だAとの離婚手続には踏み切っておらず,仮に現時点では家庭内別居状態になっているとしても,修復不可能な状態までに夫婦関係が破綻していると認定するのには躊躇がある

また,被告とAとの関係が,約1年7か月という長期間にわたり断続的に繰り返された背景には,被告のみならずAからも,相当程度積極的な働きかけがあったことは認めざるをえないこと等を総合的に考慮すれば,被告とAの不貞行為によって原告に生じた精神的損害に対する慰謝料額は,150万円とするのが相当である。

(※東京地裁平成22年 7月15日判決文より一部引用)

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