夫と不倫相手の不貞行為により、妻がうつ病により通院加療を要する状態に追い込まれたとして妻から不倫相手へ150万円の慰謝料請求を認めた事例

事例の紹介

この事例は,妻から不倫相手への慰謝料請求が問題となった事例であり,不倫を理由に離婚するには至っていないことが考慮され,慰謝料額が150万円とされた事例です。不倫を理由に離婚に至っていない場合には,慰謝料額が100万円から150万円程になることが多いです。この事例では,不倫を解消するという約束が破られていることや妻がうつ病により通院していることなどが考慮され,離婚には至っていない事例としては比較的高額な慰謝料額とされています。離婚には至っていない場合の慰謝料請求について詳しく知りたい方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1)原告とAは,平成元年10月22日に婚姻した夫婦である。同人らの間には,長男(平成3生)及び長女(平成8年生)がいる。
(2)被告とBは,婚姻しており,3人の子がいる。
(3)被告は,平成19年夏ころ,子ども会の活動を通じてAと知り合い,遅くとも同年10月ころには,同人が婚姻中であることを知りながら同人と不倫関係を結ぶに至り,平成20年11月ころいったんその関係を解消したものの,平成21年1月ころから同年5月ころまでの間,再び不倫関係にあった。

(4) 被告は,平成20年10月ころ,少なくとも2回程度,自身の携帯電話から原告宅に電話を掛けたものの,これを受けた原告ないし子らと話をすることなく,電話を通じて被告とAとのやり取りを聞かせたことがあった。

(12) 原告は,平成20年10月ころから不眠,食欲低下,体重減少が出現し,現在はうつ病と診断されて通院加療中である。

(3) 原告とAは,現在も同居して生活している。

慰謝料算定のポイント

認定した各事実,とりわけ本件不倫関係が原告に発覚し,原告も関わる形でいったんは解消されたにもかかわらず,わずか2か月程度で再開されたことに加え,

原告とAとは,現在も同居して生活しているとはいえ,その内実は,いまだ別居及び離婚に踏み切るには至っていないというにとどまり,婚姻関係の修復は困難な状態にあるものと窺われることを総合的に考慮すると,

原告は,被告及びAの本件不倫関係という不法行為により,円満であったAとの婚姻関係が修復の困難な程度に損なわれ,配偶者としての円満な婚姻関係維持という利益を奪われるとともに,自らもうつ病により通院加療を要する状態に追い込まれたということができる。

これに対する慰謝料としては,150万円をもって相当とすべきである。

(※東京地裁平成22年12月 9日判決文より一部引用)

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