妻が不貞行為によって妊娠中絶し,夫との婚姻関係が破綻した一方で,夫と妻の不倫相手との間では既に和解が成立しているため妻への慰謝料請求額を30万円と算定した事例

認められる事実

(1) 原告と被告は、平成21年9月3日に婚姻し、原被告の間には長男が誕生している。
(2) 被告は、Aとの間で、平成26年3月頃より、不倫関係を持った。
(3) 被告は、Aとの不倫関係を持った結果妊娠し、人工妊娠中絶手術を受けたが、その際、「人工妊娠中絶に対する同意書」の配偶者自署欄に原告の氏名を記載して使用した。
(4) 原告と被告は、平成27年3月22日に別居した。

(5) 被告は、原告からAとの関係を疑われたもののこれを否定していた。
(6) 原告は、被告の不倫について調査を依頼し、調査会社による調査が実施された。

(8) 原告は、Aとの間では訴訟上の和解が成立している。
(9) 原告は、平成27年10月13日頃、被告を相手方として離婚調停を申し立て、原被告の夫婦関係は離婚へ向かっている

慰謝料算定のポイント

前記前提事実に示した原被告の婚姻期間の長さ、被告とAとが不貞していた期間の長さ被告がAと性交渉をしてAの子を妊娠したところ、その人工妊娠中絶手術を受けるに当たって、あろうことか夫である原告の名前を冒用したこと、少なくとも平成27年3月22日の別居に至るまでの間、原告から問われながらも不倫の事実を否定しており、原告は調査会社に依頼するなどして被告の不倫を調査するに至ったこと、原被告の夫婦は同日に別居し、離婚調停申立てを経て、やがて離婚することはほぼ確実であること

他方で、Aとの間で和解が成立していることその他の本件に現れた一切の事情を考慮すると、慰謝料額は30万円とするのが相当である。

(※東京地裁平成28年7月8日判決文より一部引用)

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