夫と不倫相手2人に対する共同不法行為に基づいて、妻から夫と不倫相手2人に慰謝料請求が認められた事例

認められる事実

(1)原告と被告Y1は、平成15年4月10日、婚姻した。同人らの間には、長男Aがいる。
原告と被告Y1は、平成15年6月頃から、同居し、平成16年頃から東京都内で同居した。

(2)被告Y1は、平成26年3月29日、ホテルに宿泊し、被告Y2と面会した。
(3)被告Y1は、平成26年5月23日ホテルに宿泊し、被告Y2と性的関係に至った。なお、被告Y2は、被告Y1が原告と婚姻しており、未だ離婚に至っていないことを認識していた。
LINE以外に不倫関係を持った具体的な証拠がない。

(4)被告Y3は、被告Y1の勤務先の工場と同じ敷地にある工場に勤めている者である。
(5)被告Y3は、被告Y1と、平成26年12月27日頃から性的関係を持つようになった。なお、被告Y3は、被告Y1が婚姻しており、未だ離婚に至っていないことを認識していた。
(6)被告Y1と被告Y3は、平成27年1月頃、結婚式場を訪問し、被告Y3は、ウェディングドレスを試着した。

(7)被告Y1と被告Y3は、平成27年2月14日、ラブホテルに宿泊し、平成27年3月27日、鬼怒川温泉に宿泊旅行に出かけた。

(4) 被告Y1は、原告に対し、平成27年1月頃、別居することを申し入れ,原告が転居することにより別居した。被告Y1は、原告を相手方とする夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てた。

慰謝料算定のポイント

原告と被告Y1は、平成15年4月10日に婚姻した夫婦であり、その婚姻期間は13年近くに及び、同居期間も平成16年頃から平成27年4月まで11年間に達しているところ、被告Y1と被告Y2及び被告Y3との性的関係が発覚したことを契機として、別居に至り、被告Y1によって夫婦関係調整調停(離婚)が申し立てられるに至っているものと認めることができ、原告は、被告Y1と被告Y2及び被告Y3との性的関係を認識し、少なくない精神的苦痛を受けたものと認めることができる。

他方、被告Y1と被告Y2は、原告との婚姻関係を解消して再婚することに向けて密に連絡を取り合っていたものと認めることができるものの、平成26年5月23日に性的関係を持ったにすぎない
また、被告Y1と被告Y3との交際期間も、平成26年12月27日から平成27年1月24日までの1か月間にとどまるものと認めることができる。
そして、原告は、被告Y1による不貞行為を宥恕し、婚姻関係の継続を希望する旨の意思を有しているものと認めることができる。

以上のほか、本件に現れたすべての事情を総合考慮すると、被告Y1、被告Y2及び被告Y3が原告に対して賠償するべき慰謝料は、被告Y1及び被告Y2につき70万円、被告Y1及び被告Y3につき80万円をもって相当というべきである。

(※東京地裁平成28年 5月25日判決文より一部引用)

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