女性の推定妊娠時期により男女関係が認められるのは婚姻前であり,夫と女性の不倫関係を否定し,慰謝料を認めなかった事例

事例の紹介

この事例は,夫婦が離婚後した後に元夫と再婚相手との間で子供が生まれ,その妊娠時期によって不倫が問題となった事例であり,結果として慰謝料の請求が認められなかった事例です。妊娠した時期については,超音波検査の結果なども参考にされており,医学的な根拠に基づく判断であったといえます。不倫の時期については,このような客観的証拠に基づいてなされるものであるため,不倫開始時期などでお悩みの方は,一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

認められる事実

(1) 平成25年2月27日,原告とAは,婚姻した。
(2) Aは,平成25年8月11日以降,出勤したまま自宅に帰らなくなり,原告とAは別居状態になった。
(3) 平成25年○月○日,原告とAとの間の子であるBが出生した。
(4) 平成25年10月17日,原告とAは協議離婚した。
(5) 平成25年11月22日,Aと被告は婚姻した。
(6) 平成26年○月○日,Aと被告との間の子であるCが出生した。
(7) 被告がCの妊娠に係る性交渉が行われた時期は,月経周期に基づく推定によれば平成25年10月23日であり,超音波検査による推定によれば平成25年10月25日ないし30日である。

慰謝料算定のポイント

推定妊娠時期をもって,平成25年10月30日よりも前から,被告がAと性交渉を有していたことを推認するに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。

平成25年8月11日にAの意思で別居し,Aは同年9月には原告と離婚する意思を明確にしたこと,Aと原告の離婚が成立した直後に被告がAの子を妊娠し,被告とAが婚姻したことからすると,原告において,被告が原因で原告とAの婚姻が破綻したと考えても無理からぬところがある。
しかしながら,被告とAが交際を始めた時期を特定するに足りる証拠はなく,また,Aの別居期間中の生活状況も明らかではないからAと被告が原告とAの婚姻期間中に男女の関係に入ったことを認めるに足りる証拠はない。

以上によれば,被告とAとの間に不貞行為があったとは認められず,これを前提とする原告の請求は理由があるとはいえない。

(※東京地裁平成27年10月29日判決文より一部引用)

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