別居していないと離婚はできないのでしょうか。

1 回答

色々なインターネット上の情報をご覧になられた方の中には,別居をしないと離婚ができないという情報に触れられる方がいるようです。ここでは,これについて,少々詳細にご説明いたします。

結論から言いますと,確かに,離婚裁判においては,不貞行為や生活費を一切入れないなどの行為がない場合,別居をしていない限りは離婚が認められないことが多いです。しかしながら,離婚裁判においても別居をしていない夫婦の離婚を認めることはありますし,裁判外の交渉によって離婚が成立することもあります。したがって,別居していないと離婚ができないということではないといえます。

もっとも,裁判離婚においては,別居の有無が非常に重要な事実として考慮されることは確かであり,裁判外での交渉においても裁判離婚になった場合の見通しを立てた上で交渉する必要があります。したがって,別居についても検討段階にある方は,一度弁護士に相談の上,どのような方法で離婚の話を進めるのが良いかを検討されることをお勧めします。

2 別居の有無が重要な理由

そもそも日本の離婚制度は,「破綻主義」という考え方に基づいており,夫婦関係が破綻しているのであれば,無理に夫婦関係を維持させるのではなく,離婚を認めようという考え方を取っています。言い換えれば,離婚が認めらえるか否かは,夫婦関係が破綻しているのかどうかによるということになります。

では,「婚姻関係が破綻しているか否か」はどのように判断することになるでしょうか。

日本においては,当事者が離婚について合意が成立しない場合は,最終的には離婚訴訟という形で裁判官が「婚姻関係が破綻しているか否か」を判断することになります。その際,裁判官は当事者双方に対して公平な判断をしなければならないため,あくまでも客観的な事実に基づいてこれを判断することになります。

この客観的な事実には,夫婦間のコミュニケーションの内容や性生活など多くの事実が含まれます。しかしながら,裁判所は,そのような多くの事実の中でも,別居の有無をとても重要な事実として考慮しています。これは,夫婦関係が破綻している夫婦であれば通常は同居しているとは考え難いということが理由になっています。

確かに,夫婦関係が破綻しているのであれば,そのような相手と共同生活を営むことは極めて大きな精神的負担を伴うものであり,通常であれば,多少の無理をしてでも別居という選択を取るように考えられます。逆に言えば,別居する程に至ってないのであれば,夫婦関係によってそこまでの精神的な負担はない状態である,つまり破綻はしてないという評価になりやすいといえます。しかしながら,経済状況や家庭の状況によっては,別居が困難であることもあるため,「別居していない」=「精神的負担がない」とはいえないことも明らかです。そこで,別居ができない理由を十分に説明することができれば,別居していない状態においても離婚が認められる可能性はあるということになります。

3 離婚に必要な別居期間について

離婚訴訟になった場合,不貞行為や生活費を一切入れないなどの事情がない場合には,別居期間が3年程に及んでいるような場合に,離婚が認められることが多いようです。もっとも,前述のとおり,必ず3年程の別居期間が必要ということではなく,別居期間が短い場合であっても,婚姻関係が破綻しているといえる場合には,離婚が認められますまずは,弁護士にご相談の上,裁判離婚になった場合に離婚が認められるか否かについて検討されることをお勧めいたします。

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