養育費の支払は子供が何歳になるまで受けられるのでしょうか。
1 回答
養育費は,原則的には「子供が成人するまで」支払うのが通常です。これは,子供も成人になった場合には自ら生計を立てるべきであり,両親による子供の養育が必要なのは基本的には成人までであると考えられるからです。
もっとも,当事者の合意が成立するのであれば,「子供が大学を卒業するまで」支払うこともあります。このような合意も当事者が納得するのであれば,何ら無効とする理由はありません。また,「子供が大学を卒業するまで」としてしまうと,子供が留年や留学をした場合には養育期間が延びることになります。そこで,「子供が22歳に達した後に到来する3月末まで」という条件で合意することもあります。
どのような条件によって合意するかは,ある程度当事者が事由に決定できるところですが,不明確な条件で合意したり,22歳には卒業する前提で「子供が大学を卒業するまで」という条件にしてしまうなどすると,後々に条件の内容で紛争が生じることがあります。養育費は長期間にわたり支払うため,総額は高額になるものですので,弁護士に相談の上,慎重に条件の交渉をすることをお勧めします。
なお,以上のような養育費の支払について,合意書においては次のような文言でまとめられることがあります。
「甲○○○○は,乙○○○○に対して,当事者間の長男○○○○の養育費として,平成○○年○月から長男が成人に達するまで月額〇万円を,毎月末日限り,乙名義○○銀行○○支店普通預金口座(口座番号○○○○○○○)に振り込む方法によって支払う。振り込み手数料は甲の負担とする。」
2 成人後も養育が必要な場合
子供が成人に達したとしても,心身に障害を負っているなどして,成人後も養育を要することあります。このような場合,両親には親としての未成年者に対する扶養義務ではなく,直系血族に対する扶養義務の問題が生じます。もっとも,このような場合は,自ら収入を得ることのできない未成年の子と全く同じに考えるのではなく,その子供の労働者としての賃金相当額を算定して,それを前提として養育費を算定するなどの工夫を図ることがあります。
3 高校卒業までとされる場合
反対に,「成人まで」ではなく,「18歳まで」というように定められることもあります。これは,両親がともに高校卒業後に就職している場合や子供の高校卒業後の就職がある程度決まったことであるときにはそのように定めることが多いです。もっとも,18歳を超えたときに,実際には就職できていなかった場合には,やはり上記のような直系血族に対する扶養義務の問題が生じます。そのため,必ず18歳で養育費の支払いが終わるということではないことは注意しなければなりません。
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