今までは仕事ばかりしていた夫が親権を譲ろうとしません。経済的には夫の方が裕福ですが,親権を譲らないといけないのでしょうか。

1 回答

親権に関するご相談の場合,このような内容のご相談が最も多いところです。

結論から言いますと,夫の経済力のみを理由として夫が親権者となる可能性は極めて少ないと考えられます。したがって,妻としては安易に親権を譲るのではなく,慎重に対応されることをお勧めいたします。

 

2 夫の経済的事情が決定的要素ではない理由

まず,夫の経済力は養育費の算定の際に考慮されますので,妻が親権者となったとしても,子供が経済的に困窮することにはなりません。また,親権者の適格性の判断は諸事情の総合考慮によって決定されますが,基本的な判断の指針として,監護状況に変更を加えない方が子供の養育上は望ましいと考えられています。したがって,夫は仕事ばかりしていて,妻が中心となって子供の監護をしていた場合には,引き続き妻が監護し続けることが望ましいと考えられる可能性が高いです。このような理由から,基本的には夫の経済的事情は親権者の適格性判断において決定的な要素とは考えられません。

 

3 夫の経済的事情が重視される場合

もっとも,夫の経済的事情が重視されることもあります。例えば,夫が会社経営者であり,子供がその跡継ぎになることを希望している場合,夫の経済的背景の下で監護を受けた方が養育上望ましいと考えられることもあります。このような事情がある場合には,妻としては,妻が親権を持つことの意味について十分に主張立証していくことが必要になります。

 

離婚相談/性別・年齢・職業別

離婚相談/状況別・お悩み別

不倫慰謝料のご相談