住宅ローンが残っている不動産があるのですが,どのように分ければよいのでしょうか。

1 回答

住宅ローンが残っている不動産についても,それがオーバーローン(自宅の価値よりも住宅ローンの残債務額の方が高い状態)になっていない限りは財産分与の対象となります。したがって,当該不動産を誰が譲り受け,ローンを誰が返済するのかなどを財産分与の際に決めておくことになります。

 

この点,不動産の価格は,一物四価ともいわれ,正確な時価を算定することが非常に難しいところです。そのため,財産分与の際に,当事者双方が自己に有利な不動産価格を主張し,この点が大きな争点となることがあります。そのような場合には,安易に相手の主張を鵜呑みにすることなく,弁護士に相談の上,適正な財産分与を目指されることをお勧めいたします。

 

当事務所は,事務所開設以来45年以上に渡って不動産法務に注力しており,不動産の評価についても高い得意性を有しております。ぜひ一度当事務所にご相談にお越しください。きっとお力になれることと思います。

 

2 不動産を売却する場合

不動産を売却する場合の分割方法は非常にシンプルになります。すなわち,不動産売却代金を財産分与の対象とすれば足ります。実務的により正確にいえば,不動産売却時に要した諸経費(売却仲介手数料等)や住宅ローンの残債務を売却代金から控除した額を財産分与の対象とすることになります。当該不動産が投資用不動産である場合や離婚時点で売却するのが不動産市場において有利であるときには,このような分割方法をお勧めすることがあります。

 

3 不動産を売却しない場合

一方,不動産を売却しない場合には,少々複雑な分割方法が必要になります。すなわち,①まずは不動産取得者を決め,②住宅ローンが残っている場合にはその返済者を決定し,③不動産の登記名義の変更手続きについても検討し,④不動産を取得しなかった者が譲り受けるべき財産についても検討することが必要になります。

まず,①については,例えば,子供が同じ自宅から引き続き同じ小中学校に通うような場合には,親権者が自宅を譲り受けることがあります。

②については,例えば,妻が自宅を譲り受けると共に,住宅ローンの返済を引き継ぐことがあります。このような分割方法が妻の経済状況から難しい場合には,夫が住宅ローンの返済をする代わりに,預貯金などの財産分与において妻が譲歩することが考えられます。また,夫が有責配偶者である場合には,妻が離婚に応じることを条件に夫が住宅ローンを負担することもあります。

③については,不動産の名義が不動産を譲り受けた者の名義になっていない場合には,登記名義の変更手続きをする必要があります。

④については,不動産を譲り受けなかった者が譲り受けるべき財産について,預貯金などの他の財産により調整する必要があります。例えば,不動産の価値と預貯金の額がほぼ同じである場合には,不動産を妻が取得する代わりに,夫は預貯金を全て取得するなどの方法を取ることがあります。

 

4 オーバーローンの場合

当該不動産がオーバーローンである場合には,当該不動産は財産分与の対象となる財産にはなりませんが,実際には離婚後の不動産管理者や住宅ローンの返済方法について離婚時に検討しておくのが通常です。特に,当該不動産が自宅であり,夫婦のいずれもがそこに住み続けることを希望する場合には,この点が争点となることもあります。

 

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